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■ 基本情報
【ハンドルネーム】K点
【進学先】Cornell
【他の合格校】USC, St. Gallen
【途中辞退】Georgetown, UNC
【WL】Georgetown, UNC
【不合格校】
1年目・・・ Cornell (インタビュー無), Tuck (オープンインタビュー), Duke (インタビュー無), Kellogg (オープンインタビュー), LBS (インタビュー無), UCLA (インタビュー無)
2年目・・・Tuck (オープンインタビュー), Duke (オープンインタビュー), Darden (インタビュー無), Emory (インタビュー無), UCLA (インタビュー無)
【年齢・性別】29歳・男性
【職歴】国内不動産デベロッパー勤務7年(マンション営業→人事→マンション海外営業)
【私費/派遣】私費
【最終学歴】一橋大学商学部
【GPA】2.66…_| ̄|○
【TOEFL】104 (R 29 L 29 S 23 W 25)
【GMAT】690 (V 38 M 46 IR 4 AWA 5.0)
【海外経験】小学校1-2年生:ザンビア, 小学校3-6年生:オーストリア, 高校2-3年生:アメリカ, 社会人6-7年目:台湾・中国
【コメント】
「こうすれば受かるMBA」のタイトルに矛盾するようだが、「こうしても受からなかった」事例は多々あっても、「こうすれば受かる」という秘訣のようなものは無い。この受験体験記も、結果論に過ぎず、他の人に当てはまるとは全く思えない。合格者がなぜ受かったかというと、受かるまで受け続けることができたからだ。最終的に受かった理由など断定不能だし、そもそも人によって異なるので一概に言えない。
MBAの試験とは、一言で言うと「まぐれ合格を出さない」ことを目的とした試験だと思っている。日本の大学の学力一発受験とも、演技力がモノを言う企業の採用面接とも違う。学力・過去の成績・語学力・仕事経験・コミュニケーション能力・海外経験・リーダーシップ・協調性等、ありとあらゆる観点から受験者を丸裸にすることで、その学校に真に相応しい者だけを選ぶのである。
私は、過去に日本の学力一発受験がうまくいった経験から、「自分はすぐ受かる」などと無駄なプライドと根拠なき自信を持っていたが、そんなものは全く役に立たなかった。それどころか、それらが故に受験の本質と全体像を見誤り、膨大な時間と労力と資金を注ぎ込む羽目になった。GMATやTOEFL等の一側面に因われずに、MBA試験とはどのような試験なのか、全体を広く捉えた上で、準備を進めることが一番の近道であることを、私の行き当たりばったりの受験体験から感じ取って頂けると幸いである。
なお、個人ブログに別観点からの体験記を書いている。
→ Konstruktionspunkt | K点 コーネルMBAを越えて
私自身ならびに私の受験体験記のキーワードは次の通りだ。当てはまる方には役立つかも知れない。
・MBAへの憧れ先行
・帰国子女(ただし田舎の高校生の日常英会話程度)
・低GPA
・私費(そして貯金も足りない)
・内需産業企業(不動産デベロッパー)勤務。営業・人事
・不合格延べ11校、MBAを意識し始めてから合格までの所要期間3年弱
■ なぜ今MBA?
(感情)
率直に言って、きっかけとしてはMBAへの憧れが一番大きい。東日本大震災後にボストン旅行に行き、ハーバード・MIT等の知的な雰囲気と洗練された学生達を目の当たりにした。その時に、自分もこんな世界でもう一度勉強し直したいと思った。ちょうど、超ドメスティックな不動産企業での仕事の幅に限界を感じていて、毎日つまらなく感じていた為、世界中から一流の人間達が集まる中で自分を鍛えてキャリアをリセットし、広い世界へ飛び出したいと思った。多額の費用が掛かることも、在学中は無職無収入になることもわかっていたが、好奇心に強く背中を押された。
(論理)
いくら行きたいと思っても、結局MBAで学んでその後何をしたいかは、大いに考えなければならない。
私の場合、MBAで経営学を広く学び、消滅の危機に貧しているスキージャンプ競技界の活性化に貢献したいと思った。私はかつてスキージャンプの選手だったが、資金不足で競技を継続できず、非常に辛い思いを味わった。私だけでなく、一部のトップ選手以外の他の選手達も同じような状況にあり、競技人口も競技資金も減少する一方である。このままでは競技自体が消滅すると危機感を持っており、元々この現状を何とか打破したいと思っていた。だが、超ドメスティック不動産会社での営業と人事の経験しか持っていない私は、競技界そのものを変革するにはいかにも頼りない。故に、MBAを通じて経営学全般の幅広い知識、背景の全く異なる人々と議論しながらチームリーディングする力、そして世界中の次世代リーダー達との広い人脈を得ることによって、現実に競技界変革を成し得るだけの人間になることが必要だと考えた。
■ スケジュール・費用
<スケジュール>
2010年4月 :友人からMBAの話を聴き、存在を認知
2011年5月 :ボストン旅行中にハーバード・MIT等を訪問(観光)し、感動して、MBA留学を一念発起
2011年8月 :大学の恩師に留学相談。「考えが甘すぎる」と返り討ちに遭い、諦める
2012年4月 :大学の先輩から留学するという話を聴き、一念発起
2012年5月 :志望校も決まらないまま、とりあえず独学でTOEFL勉強開始
2012年6月 :初TOEFL88点
2012年7月 :TOEFL102点(1年目出願スコア)。Y.E.S.に入学し、GMAT対策開始
2012年9月 :初GMAT 530点。E4TGに入学し、今更TOEFL Speaking対策開始
2012年10月 :GMAT2回目550点。凄惨なスコアに泣きながら濱口塾に入学
2012年12月 :GMAT3回目690点(提出スコア)。R2へ向けてエッセイ対策を始めようとカウンセラーを当たりまくるも、「間に合いません」と断りの嵐
2013年1月 :Tuck・Duke出願。Tuck弾丸キャンパスビジット&オープンインタビュー。返り討ちに遭って泣きながら帰国。Chicagoにも帰りに寄る
2013年2月 :LBS出願
2013年3月 :Cornell, UCLA出願。Cornellキャンパスビジット
2013年4月 : Kellogg出願
2013年5月 : Kelloggオープンインタビュー
〜台北転勤〜
2013年6月 : 出願全校インタビューインビテーション無しの完全不合格が決定。転勤後の仕事の嵐も重なり、受験への気力を失う
2013年7月 : Tuck説明会に参加し、一念発起(1年ぶり3度目)
〜入籍〜
2013年8月 : TOEFL104点(最終出願スコア)
2013年9月 : 新婚旅行を兼ね、Tuck・Dukeキャンパスビジット&オン・キャンパスオープンインタビュー
2013年10月 : Tuck・Duke出願
〜上海転勤〜
2013年12月 : GMAT4回目(不出来によりキャンセル)
2014年1月 : Darden・Emory・Georgetown・St.Gallen・UCLA・UNC・USC出願。Georgetown・St. Gallen・UNC・USCよりインタビューインビテーション
2014年2月 : Cornell出願。St. Gallen・ UNC・ USC・Georgetownインタビュー
2014年3月 : Cornellよりインタビューインビテーション。St. Gallen・USC合格。Cornell・Georgetown・UNC Waitlist入りのお知らせ
2014年4月 : Cornell合格。受験終了
<費用>
受験中は、ケチケチ受験になって必要な投資ができなくなることを恐れ、受験費用はあまり考えずにいたが、これを機に厳しい現実に向き合ってみることとした。以下の通り。
380万!!!
道理で貯金が貯まらなかった訳だ…_| ̄|○
山のような書籍群(これでも一部)
■ 予備校選び
<TOEFL>
SpeakingはE4TG、WritingはY.E.S.の講座をそれぞれ一ヶ月程度受講。
<GMAT>
Y.E.S.でSCを2ヶ月程度受講したが足りず、濱口塾をSkypeで受講。
<エッセイ他>
受験1年目に日本人カウンセラーに依頼したが、質も対応も悪く、最終的には元・TuckアドミッションでCornell出身のNorthstar Admissions代表・Karen Marks氏(http://www.northstaradmissions.com )に依頼した。カウンセラーの質は本当に合否を分けると思う。MBA受験は、カウンセラー不要の日本の学力一発受験とは全く性質が異なるので、大金を出してでも実績豊富なカウンセラーに依頼すべきと感じた。
■ レジュメ
カウンセラーKarenと話しながら書き上げた。レジュメは受験の全過程で使用するものなので、完璧なものを一度仕上げてしまうと楽。プロの書き方もあるので、カウンセラーに要相談。
■ TOEFL
高校時代にアメリカに1年間留学していた為、Reading・Listeningは特に問題なく独学でカバーできた。一方、WritingとSpeakingは、ネイティブでも苦労する程、テクニックが必要とのことだったので、塾(Writing: Y.E.S., Speaking: E4TG)へ行ってテクニックを学んだ。特にSpeakingについては、かなり回答時間が限られている為、テクニック無しでは太刀打ち出来ないと感じた。ある程度テクニックを学んだら、Reading・Listeningを含め、ひたすら模試をやりまくって問題量をこなした。試験時間も長く、集中力が途切れたら終わるので、その辺も含め鍛える必要があると感じからだ。
(Reading 自己ベスト30点)
お馴染みの”TOEFL英単語3800”で語彙力を高め、あとはひたすら問題練習を行った。20分以内に確実に余裕を持って1問を終えることが一番重要だと感じた。時間不足で問題を落とすことが一番勿体無い。
(Listening 自己ベスト30点)
BBC World Serviceのポッドキャストを暇さえあれば聴いた。他はひたすら問題練習。
(Speaking 自己ベスト23点)
E4TGで1ヶ月間4回受講。非常に効率的にテクニックを学ぶことが出来た。できればもっと通いたかったが、全く余裕が無くなり、1ヶ月で終了。ただし、その後も自分が話すのを録音して聴きながら、復習に復習を重ねた。
(Writing 自己ベスト25点)
Y.E.SのWriting講座を受講。テンプレート通りに書けるようになっても点数が上がらなかったが、ひたすら語数を多く書くようにしたら、点数が上がった。
■ GMAT
最終スコアは690だったが、700以上が望ましいと思う。カウンセラーからも「あと10点あれば…」と何度言われたことか…。
当初、Y.E.S.でSCを習い、あとはGMAT Official GuideでRCやCR、マスアカデミーの問題集でQuantitiveを独学して臨んだが、全く歯が立たず500点台に留まった。しかし、濱口塾の濱口先生に泣きついて入学し、大量の教材でVerbalとQuantitiveを毎日それぞれ1回分やり続けたら、1ヶ月間で140点上がった。やはりGMATもTOEFL同様、1科目だけで勝負が付くわけではないので、SCに特化するようなやり方は望ましくないのだと感じた。練習量をこなす意味では、濱口塾の膨大な問題&解説と、日中深夜を問わず質問メールに即レスをくれる態勢に勝るものは無いと思う。
なお、Kaplanの問題集にオンライン実践模試がたくさん付いてくるのでお勧め。本番はとてつもない長時間、集中力を持続させなければならない為、模試をやりまくって慣れた方が良い。
(Verbal 自己ベスト38点)
上記の通り、Y.E.S.に2ヶ月行った後は、ひたすら濱口塾の教材でトレーニング。単語は”TOEFL英単語3800”で十分だと思う。なるべく練習量を積んで、速く解けるようにしないといけないと思った。
(Quantitive 自己ベスト46点)
独学。マスアカデミーの教材で基礎を学び、その後はひたすら濱口塾の教材でトレーニング。ただ、センター試験偏差値50割りという輝かしい実績を持つ文系脳の私は、結局46点という貧弱な点数に留まった。
(Integrated Reasoning 自己ベスト7点)
「選考に関係無い」との情報を信じて、模試以外何もせず。最高7点だが、提出スコアは4点…。
(AWA 自己ベスト5.5点)
後述の元・TuckアドミッションメンバーのKarenの話ではAWAは結構アドミッションは見るらしい。当初はまともに勝負していたが、4.0しか取れなかった。濱口塾のテンプレートを前日に覚えて、語数を増やしまくってテンプレート通りに書いたところ、最低でも5.0が取れるようになった。
■ エッセイ
エッセイはMBA受験で最も大切な部分と言われるだけあって、相当なリソースを注入する必要がある。それに加え、アドミッションの考えや判断基準は受験生の想像の範疇を完全に超えている。従って、エッセイに独力で臨むのは無謀で、カウンセラー(それも実績豊富なトップカウンセラー)の力を借りるのが一番の近道だと感じている。
1月の出願へ向けてまさかの12月中旬からエッセイ対策を始動した受験1年目は、数々のトップカウンセラー達から「間に合わない」と断りのオンパレードの後、唯一引き受けてくれたリーゾナブルな料金の日本人カウンセラーの指導を受けて執筆。自分の正直な気持ちをひたすら羅列した草稿を投げると、次々と「イイね!」と返事がくるので「本当にこれで良いのか…?」と半信半疑ながらも学校に提出した。ところが、間もなく不合格通知の嵐に襲われた為、再度相談したところ、まさかのエッセイ内容否定の返答がきた為、怒りと呆れでその後相談することは無かった。また、カウンセリングも結局初回のみで、その後は面談を申し込んでも多忙を理由に断られる一方だったので、非常に悲しい気分になった。
受験2年目はTuck卒業生の推薦で、元・TuckアドミッションでCornell出身のNorthstar Admissions代表・Karen Marks氏(http://www.northstaradmissions.com )に依頼した。先方がアメリカ在住で直接会えないし、料金も1校目が3,750USDで2校目以降が1,000USD/校(ただしレジュメ作成・インタビュー対策・ウェイトリスト対策・アドミッションへのメールの添削等、諸々セット)ととてつもなく高く、前述の件でカウンセラー不信にもなっていたので非常に迷ったが、頼れる人もいなかったし、実績も豊富なので依頼した。これが吉と出た。Karenはまさにプロフェッショナルで、Skypeやメールで何度も私の話を聴いた上で、エッセイのいろはからしっかりと指導してくれた。
私は元々、エッセイとは、自分の気持ちをぶつけるものだと思っていたので、卒業後のゴール等、現実的であるか否かに関わらず、自分の思った通りに書き、彼女にもその意図を主張した。ところが、それを読んだ彼女は次のように述べた。「あなたのゴールが他の誰にも無い独創的なもので、素晴らしいことは良く分かるのだけど、これではどこにも受からない。あなたのゴールは、前例もないだろうし、果たして本当に学校のプログラムを通じて達成できるのか判断がつかない。学校だって、プログラムを通じて生徒にはゴールを達成してもらいたいと思っているのだから、判断できない状態では合格を出したくても出すわけにはいかない。だから、学校側がこれなら達成できると判断できるようなわかりやすいゴールにしてあげないといけない。それがあなたの直接のゴールでは無いにしても、少なくとも関連はあるものであれば良いと思うし、そもそも受からないとあなたは前に進めないのだから、柔軟に考えなさい。」
結局、彼女の言う通り、より現実的な方向でエッセイを書いて出願したところ、インタビューインビテーションが次から次へと届くこととなった。こういう的確なアドバイスは経験・実績豊富なカウンセラーにしかできない。評判の高いカウンセラーの料金は高いが、まさにこのようなプライスレスのアドバイスを売り物にしているが故である。また、年末年始に8校ものエッセイ執筆&出願を詰め込んだにも関わらず、彼女は超速の添削で対応してくれた。彼女こそ真のプロフェッショナルだと感じた。
■ 推薦状
私費の為、勤務先に内密で受験した私にとって、受験1年目は推薦状こそが大きな課題だと感じていた。バレないかどうかビクビクしていた。ただ、後で振り返ってみると大したことではない。バレたところでどうせ受かったら辞めるのだし、受験をしているだけで不利益を被るような会社なら、それこそさっさと辞めるべきだ。結局、理解のある尊敬する先輩社員に依頼して快諾頂いた。
先輩が英語が得意でなかったことに加え、1年目は時間に余裕がなかったこともあり、名前だけ借りて、私が推薦状を書いたが、受かることはなかった。2年目の受験前にカウンセラーKarenに相談したところ、アドミッションにとっては文章のクセで同じ人が書いたことを見破るなんて訳もないので、絶対にやるべきではないと注意された。だが、いきなり英文を書いてもらうことはできないので、先輩にインタビューし、それを英語の得意な友人に文章に書き起こしてもらい、送付してもらうようにした。
■ 志望校選定
MBA受験準備を始めた当初は、どんな学校があるかも知らないまま、突っ走っていたが、次第に次のような優先順位で志望校を選ぶこととなった。
①ランキング上位であること
私費なので、莫大な投資に見合うだけの見返りのある大学であるか否かは非常に考慮した。プログラムの内容にはあまりランキングは関係ないのかも知れないが、少なくともランクが高い程、世界中からトップクラスの人々が集まっているのではないかと考えた。
②2年制であること
学部時代に全然勉強しなかった私にとって、1年間は短すぎると思った。また、以下③を達成すると言う観点でも、1年間は短すぎると思った。また、2年間じっくり今後のキャリアを考えたいと思った。
③少人数制で学生同士の仲が良いこと
学校へ行くのは2年間だが、その後もずっと続くような濃密な関係をクラスメイトと築きたいと考えた。勉強した内容はやがて忘れてしまうかも知れない。だが、世界のリーダー達とのネットワークは大きな財産として残り続けることだろう。また、少人数制だと、自分がリーダーシップを発揮する機会をより多く持てるのではないかとも考えた。
④田舎にあること
上記③の達成の為に、授業時間の終了と共に学生がそれぞれのコミュニティに散らばっていくような環境は避けたかった。田舎で授業が終わった後も、学生同士一緒に過ごすような、ある意味逃げ場の無い環境が良かった。そして、生活費の観点からも物価や家賃の安い田舎が望ましかった。
⑤教育内容のバランスが良いこと
学部時代に部活一辺倒だった私は、経営学全般を基礎から学びたいと思った。従って、ファイナンススクールやマーケティングスクールと呼ばれる学校ではなく、バランスの良いプログラムを提供している学校が良かった。
⑥スキージャンプの盛んな地域にあること
卒業後にスキージャンプビジネスに携わりたいと思っているので、できれば在学中にアメリカの競技関係者とネットワーキングをしておきたいと思った。(あまり該当する地域は無いが…)
上記の通り、色々な観点で考えたものの、全て満たしている学校などほとんど無いし、そもそも絞ったところで受からなければ意味が無いので、結局この条件を満たさない学校もバンバン受けた。たまたま上記条件を全て満たすCornellに合格できたので、本当にラッキーだったと思う。
■ インタビュー
インタビュー対策と言うと、千本ノックのようなトレーニングで、どんな質問にも条件反射的に答えられるようにするものだと思っていたが、カウンセラーKarenはそれも違うと言う。曰く、「対策し過ぎると、単に暗記した文章を垂れ流すだけの回答マシーンに見えてしまう。それこそ、暗記しか能力の無い人間と自ら言っているようなものなので、止めるべきだ。主な質問の大筋の回答だけ頭に入れて、後はその場で話せば良い。」と。そして、実際に私は不安でトレーニングしたくてたまらないのに、「もう不要」と打ち切られることもあった。ただ、実際に受けてみると確かにその通りだと感じた。特に、後述するSt. Gallenインタビューは1時間半にも及び想定の範囲を超える質問のオンパレードだった為、どんなに対策しても意味がなかったと思う。
また、多くの学校が選考の最後の関門としてインタビューを用意している…ように見えるが、実際はそうではないとのこと。カウンセラーKarenは、「確かにインタビューは多くがインビテーション制で、それまでのエッセイ等で選考を通過しないと受けることもできないけれど、あくまで幅広いアプリケーションの一要素でしか無いので、インタビューが良かったから合格したり、悪かったから落ちたりするものものでもない。だから、インタビューが悪かったからといって落ち込む必要はない。」とCornellインタビューがボロボロで意気消沈していた私に教えてくれた。
Skypeインタビューは話が伝わりにくいので、極力キャンパスに行くべきだとの議論があるが、そうでもないかと思う。確かに実際に会って話した方が、話しやすいとは思ったものの、私の場合Skypeインタビューしか受かっておらず、直接インタビューは全てウェイトリストか不合格となった。自身の居住地にインタビュアーが来てくれれば良いが、そうでなくオンキャンパス以外はSkypeと言うケースも多い。私費受験生の場合、その都度渡航しようものなら、大変なことになるので、Skypeで受けて良いと思う。心配はいらない。
以下、時系列に受験校インタビュー概要。
(Tuck)
1年目
Round 2のオープンインタビュー最終日にキャンパスで受験。面接官は学生1人。Why MBA? Why Tuck? Short-term goal, long-term goal. The biggest failure. Team work experience...等、極めてオードソックスな質問だったが、インタビュー慣れしていなかった為、全くうまく答えられず、泣きながら帰国。30分間。
2年目
前回受験から半年しか経っていなかったが、年度のオープンインタビュー初日に再度キャンパスで受験。面接官はアドミッション1名+学生2名(学生インタビュアーのトレーニングを兼ねていた模様)前回同様、極めてオードソックスな質問。ほぼ完璧に回答したが、結局合格には結びつかず。30分間。
(Kellogg)
東京でオープンインタビュー。面接官は日本人卒業生。英語にて実施。質問はTuckと似たようなオードソックスなもの。30分間。
(Duke)
オープンインタビューをキャンパスで受験。面接官は学生1名。向こうも面接慣れしていなかったようで、質問リストのようなものを読み上げていた。無難に回答していたが、相手が非常に眠そうで、目が閉じ掛けていたので、不安と怒りを抱えたまま帰国。30分間。
(USC)
インビテーションによるアドミッションインタビュー(Skype)。Why MBA? Why USC? Short-term goal, long-term goal. Leadership experience...等まではオードソックス。What motivates you?という変化球有り。質問が漠然とし過ぎていたので何度か聞き直して、質問を具体化してもらってから回答。当方からの質問としては、「なぜUSCは東京オフィスを閉めてしまったのか?」という質問をしたが、先方がその事実を知らず答えられなかった。後にKarenから「相手を追い込むような質問は止めなさい」とお叱りを受けた。30分間。
(St. Gallen)
知る人ぞ知るスイスの名門校。インビテーションによるアドミッションインタビュー(Skype)。3日前に課題(企業・労働倫理に関する問題)を与えられ、それに対して5分間で自身の考えをプレゼンテーションをする形式のインタビュー。プレゼンテーションもきつかったが、その後のインタビューも1時間半に及び、一番しんどいインタビューだった。オードソックスな質問は一瞬で終わり、後はひたすら自身の経歴について重箱の隅を突くような質問をされ、丸裸にされた。「中国で苦労していることは何か」「中国語は話せるのか」「なぜせっかく中国に行っているのに中国語を話せるようにならないのか」「受験校はどこか」「前回GMATを受けてから時間が空いているが、その間に他校を受験しなかったのか」「MBA行かなくても転職の道だってある。何でそうしないのか」「君はみんなの先頭に立って引っ張るような”将軍”のようなリーダーには見えないが、リーダーシップは発揮できるのか」…etc。初めは焦ったが、途中から開き直りの境地に達して、英語を間違っても気にせずバンバン答えていった。こちらからの質問では、カウンターパンチとしてSt. Gallenの知名度の低さを指摘し、広報戦略等は無いのか、日本の受験生が何を求めているか知らないのか等を尋ね、一矢報いてやった。1時間半はさすがに疲れたが、何とも達成感のある面白いインタビューだったと思う。
(UNC)
卒業生とのオープンインタビュー。上海のホテルの喫茶店で日本人卒業生と英語で実施。Tuckと同じようなオードソックスな質問で30分間…の後、日本語で1時間半雑談(おそらくこれもインタビューの一環なのだろう)。会心の出来だったがウェイトリスト止まり。
(Georgetown)
インビテーションによるアドミッションとのインタビュー。上海のホテルのロビーで実施。極めてオードソックスな質問で30分間。アドミッションがソウルや北京を周ってきて、当日夜に帰国とのことで、くたびれきっていた。会話が噛み合わず。中国にいる卒業生の紹介を依頼したもののそれもお断り。後味の悪さが残った。
(Cornell)
合格発表の10日前にインビテーション。アドミッションとのSkypeインタビュー。概ね普通の会話。Cornellで如何に貢献したいと思っていて、自分の経験上実際にそれができると思っているかをとにかくアピールした。冒頭で、面接官が、私が高校留学したド田舎の村を訪れたことがあることがわかり、盛り上がった…のも束の間、その後英語がうまく出てこなくなってしまい、たどたどしくぎこちない英語になってしまった。質問に変化球が多く、狼狽した為かと思う。変化球とは、Walk through your resume.の代わりに、How have you expanded your responsibilities? など。気合を入れて臨んだにも関わらず、全く手応えが無く終わってしまい、涙が溢れ出てきた。が、結局何故か合格に至った。
■その他提出書類
大学成績証明書と卒業証明書。
(「資金証明を提出しなければならない」ととあるカウンセラーに言われたことがあったが、結局ビザ取得手続きまで、そんなことは無かった。私費の人は、貯金が少なくても受験を諦めるべきではない。)
■ アプリ提出後
私の場合は、2年目の受験で、Cornell・UNC・Georgetownの3校から同時期にウェイトリスト入りを告げられた。それまで、様々な合格者やカウンセラーのブログ等で、「ウェイトリスト対策が生死を分ける!」等の情報を見てきたので、大いに焦ってカウンセラーKarenに相談した。ところが、驚いたことに次のような返事が返ってきた。「ウェイトリスト対策は、何をやったら良いというのは決まっておらず、追加エッセイやビジットによる対策はほとんど意味が無い。なぜならば、合格者というのは年齢・性別・国籍・人種・経験産業・語学力等様々な観点から、学年のバランスが良くなるように決めるのものだから。つまり、辞退者が出るか、学校側の求める基準やあなたのプロフィールそのものが変わらない限り、繰り上げ合格になることは無い。追加エッセイを書いたり、ビジットしたりしても、それが評価されて繰り上げ合格となるようなことは無い。私もアドミッションにいた時は、追加エッセイが届いても気にも留めなかった。だから、Cornellへの追加ビジットも止めておきなさい。それよりは、あなたが行くことになるかもしれない合格校のUSCにビジットして合うか合わないかを見てきた方が良いし、キャリアゴール具体化の為に、色々な人に会って話を聴いてきた方が良い。」
矛盾するようだがCornellの場合はKarenのアドバイスで、何をすべきかを直接アドミッションに質問したところ、本当に教えてくれた。「語学力アップの為に英語スピーチサークル”Toastmasters”へ参加の上、活動状況を報告」「キャリアゴール達成手段および達成できない場合の”Plan B”の具体化」とのことだった。TOEFLの点数があまり良くなかった為、先方提示の2点に加えて自主的にTOEFLも追加受験することとし、直ちにこれらの対策を開始した。しかし、そのわずか10日も経たないうちに、突如受験は終了することとなる。まだ対策を始めたばかりで、当然、学校に状況報告もしていなかったにも関わらず、合格通知メールが届いたのだ。メールを受信した時はあまりにも信じ難かったので、大学に電話を入れて確認したところ、確かに合格だとのこと。改めて私のことが会議で議論され、繰り上げが決まったそうだ。多分、辞退者が出たのだと思う。結果的に、ウェイトリスト対策そのものの効果に疑問符がつくことをラッキーな形で実感した。
■ その他役立つ情報
MBA受験は仕事のパフォーマンスが大事である。
私は元々、受験勉強を始めた頃は仕事が嫌で嫌で堪らず、会社から逃げ出す意味も込めて受験勉強をしていた。仕事へのモチベーションが極めて低く、「どうせMBA受かったら辞めるんだから…」とかなりいい加減に仕事をして、受験勉強にリソースを投入するようにしていた。だが、それ故に、エッセイやオープンインタビューで仕事のことを述べる際は後ろめたさから抽象的な話しかできなかった。受験1年目はインタビューインビテーションすら無い全校完全不合格という結果だったが、今振り返ると然るべき結果かと思う。
その後異動で台北・上海へ転勤となり、人数の少ない海外拠点の運営に否応なしに深く関与することとなった。営業・人事・総務・経理・システム等、全てを受け持つこととなった為、多忙過ぎて休日もほとんど無かったが、業務に大いに貢献していると言い切ることができたし、拠点の成績も上がって自信がついた。また、ローカルスタッフのマネジメントに苦悩したことから、自身に足りない点を認識することができた。同時に、異文化環境で働くことが如何に大変なことかを実感し、ダイバーシティへの適応能力や英語によるディスカッション能力を高める必要性を感じた。これらがMBAへ行く意義を肉付けすることとなった結果、エッセイ・インタビューのいずれに於いても、具体性があり、自信が滲み出るような回答をすることができたと思っている。
我々日本の受験生はこれまでの日本の学力一発受験の経験から、ついついGMATやTOEFLスコア等ばかり気にしがちだが、MBAの学生にはあくまで経験を積んで実績を残したビジネスパーソンが求められていることから、仕事を疎かにして受験に専念しても合格者として相応しい人物になることができないのだと思う。私の場合は、強制的に一生懸命働かざるを得ない状況に置かれたことが幸いしたと、改めて感じている。
■ その他役立つ情報
(ネットワーキング・キャンパスビジット)
Cornell・Tuck・Duke・Chicagoにキャンパスビジットをした。Cornellは休日でアドミッションに会えず、授業見学も出来なかったが、在校生の話を聴き、キャンパスを徘徊。美しいキャンパスに憧れた。Tuck・Dukeは新婚旅行と(!)、オンキャンパスのオープンインタビューを兼ねてビジット。ビジットは雰囲気を感じられ、在校生にも親切にして頂いて、非常にモチベーションが上がった。妻もビジットを通じ、留学を応援する気を高めてくれた模様。加えて、カウンセラーKarenのこともビジット先で知り合った親切な在校生の紹介により知ることができた。ただし、正直に言って私費受験生には、お金も時間も掛かるのでビジットはキツイ。
一方、ビジットが選考上有利になるかというと、実際はそうでもないとのこと。カウンセラーKarenはTuckの元・アドミッションメンバーだが、CornellのWaitlist対策として再ビジットを考えている旨相談したところ、「アドミッションはそんなもの気にも留めないから意味が無い。それよりは受かった学校にビジットして合うか合わないかチェックした方が良い。」とのアドバイスを頂戴した。
台湾・中国駐在中でも在校生や卒業生とのネットワーキングは可能だった。海外駐在中の受験生も、日本人とはSkypeで話せば良いし、現地の卒業生は無論英語を話せるし、受験生に好意的な人も多いので、心配する必要はない。
(総括:結局、どうしたら受かるのか?)
冒頭でも述べた通り、MBA受験に「こうしても受からなかった」は多々あっても、「こうすれば受かる」という秘訣は無い。どれも結果論に過ぎない。合格者がなぜ受かったかというと、受かるまで受け続けることができたからだ。
私費MBA受験の最大の敵は、受験期間中の環境変化だと思っている。MBAを志す人々の多くは20代後半から30代半ばだ。この時期というのは、結婚・出産・昇格・転勤・転職・親の引退等、人生最大級のイベントが多発するとんでもない時期だと思う。このような時期に、肉体・精神・時間・金銭の4面全てに於いて膨大なリソースを投入してMBA受験を継続することは困難を極める。(そして、合格したところでその後2年間は膨大な借金を抱え、異国で無収入で過ごす日々が待っている。)
私費留学を志して共に受験勉強をしていた人々の中には、途中で受験を断念してしまった人は少なくない。だが、多くの場合は彼らの志の問題では無い。行きたくても環境変化の結果、断念せざるを得なかったのだ。大学受験の時のように、一人で勉強に専念すれば良く、しかも周囲のサポートを当然に受けられる状況であれば、これを乗り越えることもできるかも知れない。だが、我々の年齢では、家族や職場のことも考えねばならず、そういう訳にはいかないのだ。妻あるいは自身が出産し、子をこれから養っていかねばならない…というような状況下で、日々受験勉強に時間と労力を注ぎ込み、何百万という多額の受験費用(受かったらさらに2,000万)を投入するようなことを、果たしてどれだけの人ができるだろうか。他者に対して責任を持つ立場になった状況下にも関わらず、周囲の協力を得て、受かるまで受験を継続することができた ― それが受かった人々に共通するポイントであり、「こうすれば受かるMBA」と言える唯一の点ではないかと思うのである。
拙文を読んで頂いて疑問に思われた方、コーネルその他私に関係有ることに興味のある方は、お問い合わせ下さい。遠慮は一切要りません。
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